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危機対応融資で集団不正 経産省、商工中金に業務改善命令

政府系金融機関の商工中金が国の制度融資で集団不正をしたとして、経済産業省は九日、商工中金に業務改善命令を出し、追加調査で不正の全容を解明するよう求めた。商工中金は調査結果に応じ、役職員のさらなる処分を検討する。
 商工中金への行政処分は一九三六年の設立後初めて。不正は金融不安や災害時に活用される国の危機対応融資で起こった。三十五支店の職員九十九人が融資先の売上高を低くするなど書類を改ざん。不正は八百十六件、四百十四億円分の融資に上り、約二百億円は本来、貸し出せない資金だった。政府系金融機関として融資を増額させ、民間の金融機関には困難な緊急時の資金繰り支援での必要性を誇示する狙いがあったとされる。
 不正は昨年十月に鹿児島支店で発覚し、外部の弁護士が調査して四月二十五日に報告書をまとめた。当時の経営陣は二〇一四年に池袋支店への本部監査で不正を把握したが「問題なし」と判断。その後も不正は続いたが、報告書は「(経営陣による)隠蔽(いんぺい)の指示は認められない」として組織の関与を否定していた。
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 だが、これまでの調査は、危機対応融資二十二万一千件の一割強しかない二万八千件にとどまる。経産省は業務改善命令で外部の専門家の監督のもと、不正の舞台となった国の危機対応融資のすべてについて不正の有無を確認するよう命令。不正の数は増える見通しで、役職員の責任の明確化も求めた。融資先から資金を返してもらわなければならない場合は、資金繰りに影響しないよう別の貸し出しに切り替えるなどの対応をとるよう要請した。
 今回の命令は経産相、財務相、農林水産相、金融庁長官の連名で、経産省の宮本聡・中小企業庁長官が、商工中金社長の安達健祐(けんゆう)・元経産次官を呼び言い渡した。
 安達氏は報道陣に「重く受け止め、これから全容を解明し、問題の所在と原因を特定し、再発を防ぎたい」と辞任は否定した。
◆民間に取られるな 「業績悪化」と書類改ざん
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 商工中金が不正融資問題で行政処分を受けた。書類を改ざんし、隠蔽した行為は極めて悪質で、政府系金融機関としての信頼を揺るがした。問題は「氷山の一角」で、不正を見て見ぬふりしてきた役職員らの「なれ合い」体質も背景にありそうだ。
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 「徹底的に問題を洗い出してほしい」。中小企業庁の宮本聡長官は九日、経済産業省に呼んだ商工中金の安達健祐社長にこう述べ、業務改善命令書を渡した。安達氏は経産省元事務次官で宮本氏にとっては先輩だが、命令書を受け取ったまま、しばらく頭を下げ続けた。世耕弘成経産相が記者会見で「役員の減給処分だけで済む話ではない」と明言しており、平身低頭せざるを得なかった。
■融資先企業争奪戦
 不正の温床になった政府の「危機対応融資」は本来、災害などで業績が悪化した中小企業に資金を貸し付ける公共的な性格が強い制度だ。しかし、不正を調べた第三者委員会によると、商工中金は月末に迫った融資残高の積み増しや民間金融機関に取られそうな融資案件の巻き返しに利用。経営内容を悪く見せかけるように書類を書き換えて融資を実行していた。
 最初に不正が発覚した鹿児島支店について、第三者委の報告書は、支店長の融資ノルマ達成の圧力があったと指摘。その上で「不正行為が営業担当者間で周知のこととされ、『みんながやっている』との意識となって規範意識の低下を招いていた」と結論づけた。

 

■民営化再燃を懸念 
 池袋支店でも書類改ざんなど百十件の不正行為を把握しながらも、職員への聞き取り調査では故意ではなかったとの回答を誘導する質問を作成。事実上、隠蔽していたことが分かった。
 政府は商工中金株の約46%を保有。早期売却を目指すのが建前だが、二〇一五年の法改正で完全民営化の時期の規定がなくなった。経産省の重要な天下り先である社長ポストを確保する理由にもなる。第三者委は隠蔽行為に「民営化を巡る状況も『(融資問題を)政治問題化させてはならない』という強いプレッシャーになったと思われる」と説明。商工中金が民営化議論の再燃に神経をとがらせていたことを推察した。
 第三者委の調査は、商工中金が実施した危機対応融資全体の約13%。世耕経産相は「全件調査をしっかりやって根本原因を特定することが重要」と全容解明を要求した。問題の根深さがあらわになる恐れもある。

 

◆金融危機や災害時の国の融資
<危機対応融資> 金融危機や大災害が発生した場合、政府が低利融資で企業の資金繰りを支援する仕組み。商工中金や日本政策投資銀行が窓口に指定されている。融資先が破綻した際に日本政策金融公庫の補償が付くほか、一定額の利子補給が行われる。商工中金は2008年のリーマン・ショックを機に融資を開始。貸出残高に占める比率が最大で4割超に達する基幹業務となっていた。

 

◆中小企業向け政府系金融機関
<商工中金> 中小企業融資を目的とする政府系金融機関で、正式名称は商工組合中央金庫。設立は1936年。2016年9月末時点の貸出金は9兆4910億円、従業員は4074人。国内に100店舗、海外に4店舗を持つ。歴代トップは所管する経済産業省のOBが多く、現社長も元経産事務次官の安達健祐氏が務める。大災害や金融危機で業績が悪化した企業の資金繰りを国が支援する「危機対応融資」の窓口に指定されている。